11.22.16:51
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10.09.18:57
第121話
「潤?どうしたの?ボーっとしてるけど」
「え、あぁ・・・ごめんね。なんでもないよ。」
神風が心配そうに覗き込むので笑って応えた
*緑色ネクスト*
「最近皆顔色優れないよ。潤も風邪引いた?」
「ううん。大丈夫。俺もしっかりしないといけないなぁ。」
笑って神風の頭を撫でる潤
(栞さん、あの後会ってもくれないし・・・ちょっと俺も口が過ぎたかもしれないけど・・・。)
確かにダメ、だったかもしれない。
栞を守るとずっと決めていたのに、綾の盾になると言ってしまった
「潤?」
「やっぱりさ・・・守るものは1つじゃないと駄目だよね。」
「・・・難しいことは分からないけど、守りたいと思うものは守るべきだと思うよ。もし迷ったらきっと後悔すると思うから」
「・・・そう、だよね。・・・・・・うん、そうだよな!よし、栞さんに会いに行こう!」
「し、おり?あ・・・」
「え?」
「そういえば神凪とどこかへ行くって・・・」
「え、どこに?」
「聞いてないよ。」
出鼻をくじかれて撃沈する潤
「・・・さ、探しに行く?」
「・・・そうだな、行こうかな。」
くじけちゃいけないっと立ち上がり神風の手を引き家を後にした
「じゅ、潤・・・」
神風がある一点を見ながら潤の服の袖を引く
「んー?あぁ、あれ?ポストだよ」
「え、でも・・・」
大きすぎない、ですか?
「第二世界は第一世界から望むものを何でも請求できるようになっててさ。大きさを問わず請求したものはここに送られるから大きく作られてるんだよ」
「いや、だからって・・・」
「まぁ新しい住人が増えたりしたら家頼んだりするからな。それで。」
「い、家を作って送るの?!」
「まぁ確か、NYが来たくらいからはユウさんの開発した『理想のお住まい建て太朗』を使って家を作るようになったけどね。コレが、パンフレット読み込むだけで2、3ヶ月で建てれるからすごいんだよな。」
「うん、ユウは天才だけどネーミングセンスないよ」
神風が呆れながらも先ほどのポストを見上げる。うん通常の建物以上のデカさだ。階段ついてるし
「ん?」
「なぁに?あ、栞さん見つかったとか?」
「いや、何か来てるよ?」
神風の向いているほうを見ると確かに「受け取ってないモノがあるえー」と書かれた文字が電子板に流れていた。
何だあの言葉遣いは・・・
とりあえず潤がポストの下のほうにある扉を開くと大きなポストには似合わない可愛らしい封筒があった
「手紙・・・?」
「差出人は・・・綾さんのお母さん?」
「え?」
「何々ー?」
潤が「第二世界の皆様へ」と書かれた封筒の封を切る
"第二世界の皆様、ごきげんよう。
綾がいつもお世話になってます。
綾の母、いわずと知れた第一世界の女王でございます。
今回お手紙を出したのは、だいぶ前になりますけど、皆様が第一世界にいらしたでしょう?
あの時の写真、現像するのついうっかり忘れちゃっててねー
入れといたからちゃんと額縁にでも飾っといてね
ついでに第一世界への招待も兼ねときますわ
もし申し出をお断りするならば、一緒に入れてある「招待券」と書かれた紙をいつものごとく焼いてくださいね
最後に、綾へ・・・"
とりあえず最後のは綾への追伸だったため読み進めずに折りたたみ写真を見る
「うわー、俺まだ髪長い頃だよ。懐かし・・・あれ?」
「ん?」
まだひとつ結びをしていた潤の隣にいるメガネをかけて笑っている少年をじっと見る
身に覚えがない俺の隣の子
「え、あぁ・・・ごめんね。なんでもないよ。」
神風が心配そうに覗き込むので笑って応えた
*緑色ネクスト*
「最近皆顔色優れないよ。潤も風邪引いた?」
「ううん。大丈夫。俺もしっかりしないといけないなぁ。」
笑って神風の頭を撫でる潤
(栞さん、あの後会ってもくれないし・・・ちょっと俺も口が過ぎたかもしれないけど・・・。)
確かにダメ、だったかもしれない。
栞を守るとずっと決めていたのに、綾の盾になると言ってしまった
「潤?」
「やっぱりさ・・・守るものは1つじゃないと駄目だよね。」
「・・・難しいことは分からないけど、守りたいと思うものは守るべきだと思うよ。もし迷ったらきっと後悔すると思うから」
「・・・そう、だよね。・・・・・・うん、そうだよな!よし、栞さんに会いに行こう!」
「し、おり?あ・・・」
「え?」
「そういえば神凪とどこかへ行くって・・・」
「え、どこに?」
「聞いてないよ。」
出鼻をくじかれて撃沈する潤
「・・・さ、探しに行く?」
「・・・そうだな、行こうかな。」
くじけちゃいけないっと立ち上がり神風の手を引き家を後にした
「じゅ、潤・・・」
神風がある一点を見ながら潤の服の袖を引く
「んー?あぁ、あれ?ポストだよ」
「え、でも・・・」
大きすぎない、ですか?
「第二世界は第一世界から望むものを何でも請求できるようになっててさ。大きさを問わず請求したものはここに送られるから大きく作られてるんだよ」
「いや、だからって・・・」
「まぁ新しい住人が増えたりしたら家頼んだりするからな。それで。」
「い、家を作って送るの?!」
「まぁ確か、NYが来たくらいからはユウさんの開発した『理想のお住まい建て太朗』を使って家を作るようになったけどね。コレが、パンフレット読み込むだけで2、3ヶ月で建てれるからすごいんだよな。」
「うん、ユウは天才だけどネーミングセンスないよ」
神風が呆れながらも先ほどのポストを見上げる。うん通常の建物以上のデカさだ。階段ついてるし
「ん?」
「なぁに?あ、栞さん見つかったとか?」
「いや、何か来てるよ?」
神風の向いているほうを見ると確かに「受け取ってないモノがあるえー」と書かれた文字が電子板に流れていた。
何だあの言葉遣いは・・・
とりあえず潤がポストの下のほうにある扉を開くと大きなポストには似合わない可愛らしい封筒があった
「手紙・・・?」
「差出人は・・・綾さんのお母さん?」
「え?」
「何々ー?」
潤が「第二世界の皆様へ」と書かれた封筒の封を切る
"第二世界の皆様、ごきげんよう。
綾がいつもお世話になってます。
綾の母、いわずと知れた第一世界の女王でございます。
今回お手紙を出したのは、だいぶ前になりますけど、皆様が第一世界にいらしたでしょう?
あの時の写真、現像するのついうっかり忘れちゃっててねー
入れといたからちゃんと額縁にでも飾っといてね
ついでに第一世界への招待も兼ねときますわ
もし申し出をお断りするならば、一緒に入れてある「招待券」と書かれた紙をいつものごとく焼いてくださいね
最後に、綾へ・・・"
とりあえず最後のは綾への追伸だったため読み進めずに折りたたみ写真を見る
「うわー、俺まだ髪長い頃だよ。懐かし・・・あれ?」
「ん?」
まだひとつ結びをしていた潤の隣にいるメガネをかけて笑っている少年をじっと見る
身に覚えがない俺の隣の子
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10.05.17:01
第120話
幼い頃の僕が金髪の男に手を引かれているのは分かる。身に覚えないけど
でもこの人の名前って何だっけ・・・。聞いてるのに、聞こえない
*赤色フューチャー*
(ユウ・・・)
"何か"があった日から1ヶ月は経ったか、もう春だった
最近皆変だ。ユウは体調が優れないしJONはよく物思いにふける。NYは狙撃の練習をしているから顔を合わせなくなった。
そして私は最近「先」が見えない
(ぼんやりとしか・・・誰かいるのは分かるんだけど)
そういう時はたいてい外れているか、相手が強すぎて私の力が及ばないか・・・
(当たってないんなら、いいんだけどな・・・)
相手が強くて見れないって事は私を敵視してるってこと
つまり、この世界に攻めてくる可能性が大。
「はぁ・・・」
「あ、やほー綾」
「わっ、JON君」
「幸せにげますよーため息なんて」
「あ、ははー。聞こえてた?」
潤宅で考え事をしていると2階から降りてきたのかJONがいた
ため息を聞かれ、苦笑いしながら頭をかく綾
「また悩み事?」
「んー、別に。ただ、なんだか最近変でしょ?」
「変?・・・まぁユウの体調は確かに不安定なままだしな」
「あと、君も!」
「・・・は?」
いきなり指を差されて拍子抜けするJON
「最近ずっと何か考えてるでしょ。悩み事はJON君のほうにあるんじゃない?」
「・・・さぁ、どうだろ。気がつくといっつも同じこと考えてるんだよね」
「同じこと?」
「まぁ、気になる女の子の1人や2人。僕の年代になるといるわけですよ」
「え、ちょっと。同い年ですけど」
うまくかわされた気もするがとりあえず笑っておく
すると、JONは用事があるのか立ち上がり玄関へ続くほうの扉を開く
「ま、ユウのこと心配して悩むのもいいかもしれないけど。綾が風邪引かないようにね。気をつけて」
「うん、大丈夫だよ。ありがと」
『死ね。』
「!!?」
頭の中に入ってきたJONとは違う男の声
(誰!?)
一瞬だけ脳裏に浮かぶ男の嫌な笑い
(っ!見える・・・!)
瞬間、綾の脳内に映像が流れ始める
男が3人、女が2人。先ほど笑っていた男は一番左にいた
足元に何かが転がっていてソレをとどめをさすようにピストルで撃つ
(撃たれたっ?誰、誰が撃たれたの・・・!?)
先ほどの男が足元のソレを蹴って転がすとこちらに顔が向いた
「潤・・・くん・・・?」
「ん、呼んだ?」
「え、あ、ううん・・・何でもないよ」
「?」
『さぁ、皆々様。我々の為に死んでもらおうか』
撃たれた潤はまだ何とか息があったらしく、苦しそうにしている
『ちょっと、死んでないじゃないソイツ!』
『はぁ?・・・っち、ゴキブリかよ。無駄な生命力使いやがって』
『・・・害虫』
『ていうかもう一発撃てばいいだけの話じゃん・・・?まさにこのゴミ、虫の息って感じだし・・・くくくっ虫の息・・・うまっ・・・』
4人の男女が思い思いに口を開き、潤を足で蹴飛ばす
(潤君が、死んじゃう・・・!!)
よく見ると、潤以外にも神風、神凪が倒れている
もっと神経を研ぎ澄ませて見ようとするがいきなりTVの砂嵐のように視界が悪くなる
「・・・っ」
「・・・?綾さん?どうした?」
お茶と和菓子を運んできた潤が綾の異変に気づく
「潤、くん・・・っどうしよぉ!」
「なっ!綾さん?!本当どうしたんだ!?」
急に泣き出した綾にあせる潤
「だってーっ死んじゃうよー!!」
「死ん、じゃう・・・?」
いきなり死ぬとか言い出したのでびっくりするが冷静に対応しようとする
「・・・綾さん、ちゃんと、話して?」
深呼吸してからそう聞くと綾もゆっくりとだが頷いた
「ぶふっ・・・くくくっ・・・」
「?きもい・・・なんなのムニン」
「地上でさぁ、未来予知能力を持ってる奴にちょっとちょっかいかけてみたらさぁ、思いのほか取り乱しちゃってさぁ・・・くくっ」
面白そうに猫背の体を揺らして笑うムニン
「きもい・・・」
「・・・フレキ姫は何してたわけぇ?また可愛い可愛い下僕たちに餌でもあげてたのかよ」
「うるさい。死ね」
「はは、何を仰いますやら・・・」
「ここは既に地獄ではないか・・・!」
「綾さんの、予知能力か・・・」
「でも、私の能力って不安定なところあるしっ」
何とかポジティブに持ち直そうとする綾
「NYの件だって私微妙にしか見えなかったしっ」
「でも、さ・・・ミシェルたちの件は見えてたわけじゃん。」
「う、うん・・・」
「綾さん俺たちと最初会ったときより予知能力が安定してきてる。分かる?綾さんの能力は進化しているんだ。」
「危険は十分考えられる。」
真剣な潤の顔が蹴られ転がされていたモノとかぶる
「潤くん・・・どうしよう、怖いよ・・・」
「俺が盾になるよ。」
「え」
「絶対に守るから。」
「潤・・・?」
「あ、栞さん。ちょっと話したいことが・・・。」
偶然潤の家を訪ねてきた栞がショックを受けたような顔をする
「栞さん?」
「い、やだよ・・・?」
「え?」
「潤は、私を守ってくれるんでしょ・・・?」
「栞さん?ちょっと、待って。何か勘違いしてる。」
「聞かない・・・!いや・・・!」
栞が走って出て行ってしまう
「栞さん!?ちょ、綾さんごめんっ追いかけるから!」
潤が誤解を解くために栞を追いかけていく
「どう、しよう・・・」
歯車が噛み合わなくなっていく
皆が変になっていく。ユウは体調が優れないしJONはよく物思いにふける。NYは狙撃の練習をしているし私は変な「先」を見た。そして今、栞と潤くんの信頼関係が崩れかけている
「どうすればいいの・・・っ?」
望まないのに、こんな未来
でもこの人の名前って何だっけ・・・。聞いてるのに、聞こえない
*赤色フューチャー*
(ユウ・・・)
"何か"があった日から1ヶ月は経ったか、もう春だった
最近皆変だ。ユウは体調が優れないしJONはよく物思いにふける。NYは狙撃の練習をしているから顔を合わせなくなった。
そして私は最近「先」が見えない
(ぼんやりとしか・・・誰かいるのは分かるんだけど)
そういう時はたいてい外れているか、相手が強すぎて私の力が及ばないか・・・
(当たってないんなら、いいんだけどな・・・)
相手が強くて見れないって事は私を敵視してるってこと
つまり、この世界に攻めてくる可能性が大。
「はぁ・・・」
「あ、やほー綾」
「わっ、JON君」
「幸せにげますよーため息なんて」
「あ、ははー。聞こえてた?」
潤宅で考え事をしていると2階から降りてきたのかJONがいた
ため息を聞かれ、苦笑いしながら頭をかく綾
「また悩み事?」
「んー、別に。ただ、なんだか最近変でしょ?」
「変?・・・まぁユウの体調は確かに不安定なままだしな」
「あと、君も!」
「・・・は?」
いきなり指を差されて拍子抜けするJON
「最近ずっと何か考えてるでしょ。悩み事はJON君のほうにあるんじゃない?」
「・・・さぁ、どうだろ。気がつくといっつも同じこと考えてるんだよね」
「同じこと?」
「まぁ、気になる女の子の1人や2人。僕の年代になるといるわけですよ」
「え、ちょっと。同い年ですけど」
うまくかわされた気もするがとりあえず笑っておく
すると、JONは用事があるのか立ち上がり玄関へ続くほうの扉を開く
「ま、ユウのこと心配して悩むのもいいかもしれないけど。綾が風邪引かないようにね。気をつけて」
「うん、大丈夫だよ。ありがと」
『死ね。』
「!!?」
頭の中に入ってきたJONとは違う男の声
(誰!?)
一瞬だけ脳裏に浮かぶ男の嫌な笑い
(っ!見える・・・!)
瞬間、綾の脳内に映像が流れ始める
男が3人、女が2人。先ほど笑っていた男は一番左にいた
足元に何かが転がっていてソレをとどめをさすようにピストルで撃つ
(撃たれたっ?誰、誰が撃たれたの・・・!?)
先ほどの男が足元のソレを蹴って転がすとこちらに顔が向いた
「潤・・・くん・・・?」
「ん、呼んだ?」
「え、あ、ううん・・・何でもないよ」
「?」
『さぁ、皆々様。我々の為に死んでもらおうか』
撃たれた潤はまだ何とか息があったらしく、苦しそうにしている
『ちょっと、死んでないじゃないソイツ!』
『はぁ?・・・っち、ゴキブリかよ。無駄な生命力使いやがって』
『・・・害虫』
『ていうかもう一発撃てばいいだけの話じゃん・・・?まさにこのゴミ、虫の息って感じだし・・・くくくっ虫の息・・・うまっ・・・』
4人の男女が思い思いに口を開き、潤を足で蹴飛ばす
(潤君が、死んじゃう・・・!!)
よく見ると、潤以外にも神風、神凪が倒れている
もっと神経を研ぎ澄ませて見ようとするがいきなりTVの砂嵐のように視界が悪くなる
「・・・っ」
「・・・?綾さん?どうした?」
お茶と和菓子を運んできた潤が綾の異変に気づく
「潤、くん・・・っどうしよぉ!」
「なっ!綾さん?!本当どうしたんだ!?」
急に泣き出した綾にあせる潤
「だってーっ死んじゃうよー!!」
「死ん、じゃう・・・?」
いきなり死ぬとか言い出したのでびっくりするが冷静に対応しようとする
「・・・綾さん、ちゃんと、話して?」
深呼吸してからそう聞くと綾もゆっくりとだが頷いた
「ぶふっ・・・くくくっ・・・」
「?きもい・・・なんなのムニン」
「地上でさぁ、未来予知能力を持ってる奴にちょっとちょっかいかけてみたらさぁ、思いのほか取り乱しちゃってさぁ・・・くくっ」
面白そうに猫背の体を揺らして笑うムニン
「きもい・・・」
「・・・フレキ姫は何してたわけぇ?また可愛い可愛い下僕たちに餌でもあげてたのかよ」
「うるさい。死ね」
「はは、何を仰いますやら・・・」
「ここは既に地獄ではないか・・・!」
「綾さんの、予知能力か・・・」
「でも、私の能力って不安定なところあるしっ」
何とかポジティブに持ち直そうとする綾
「NYの件だって私微妙にしか見えなかったしっ」
「でも、さ・・・ミシェルたちの件は見えてたわけじゃん。」
「う、うん・・・」
「綾さん俺たちと最初会ったときより予知能力が安定してきてる。分かる?綾さんの能力は進化しているんだ。」
「危険は十分考えられる。」
真剣な潤の顔が蹴られ転がされていたモノとかぶる
「潤くん・・・どうしよう、怖いよ・・・」
「俺が盾になるよ。」
「え」
「絶対に守るから。」
「潤・・・?」
「あ、栞さん。ちょっと話したいことが・・・。」
偶然潤の家を訪ねてきた栞がショックを受けたような顔をする
「栞さん?」
「い、やだよ・・・?」
「え?」
「潤は、私を守ってくれるんでしょ・・・?」
「栞さん?ちょっと、待って。何か勘違いしてる。」
「聞かない・・・!いや・・・!」
栞が走って出て行ってしまう
「栞さん!?ちょ、綾さんごめんっ追いかけるから!」
潤が誤解を解くために栞を追いかけていく
「どう、しよう・・・」
歯車が噛み合わなくなっていく
皆が変になっていく。ユウは体調が優れないしJONはよく物思いにふける。NYは狙撃の練習をしているし私は変な「先」を見た。そして今、栞と潤くんの信頼関係が崩れかけている
「どうすればいいの・・・っ?」
望まないのに、こんな未来
10.05.16:45
第119話
「ハデス様、地上での"riraive"の生命反応が、消えました」
「死んだのか?」
「現在確認中です。おそらく我々より先に天界側が発見・・・保護したかと」
「・・・・下がっていいぞフギン」
「はっ」
そういうとスーツの男が一礼をしいなくなる
「久しぶりに・・・会えそうだなぁ、ユウ・・・」
*青色ヴァーギュネス*
「ユウー、何してるの?」
「んー?ちょっとねー・・・洗濯物でもしようかと思って」
「えっそ、そんなのあたしがやるよ!ユウはまだ体調不良なんだから!」
「もう治ったのにー」
「だぁめ。私がやるからユウは休んでて!」
「はぁーい」
綾に促されて居間で休むことにするユウ
「んー、ほんとにもう大丈夫なのになぁー・・・」
暇になったのでTVをつけてザッピングする
「最近テレビ見てないからなぁ・・・分かんないや。つまんない・・・」
つけたTVをすぐに消してソファに倒れる
「・・・っ!!」
(また、かよ・・・っ)
ユウをまたもや頭痛が襲う
「いっ・・・!!」
『くくっ・・・・』
頭の中で男の笑い画が聞こえる
『ははっ・・・お前も可哀想だよなぁ・・・』
(誰、だよ・・・っ)
『ユウ・・・ユウ・・・』
馬鹿にしたように自分の名前を呼ぶ、ぼやけて見える男
『1人なのに、1人ぼっちなのに・・・』
聞いたことある、何だろうこの声は
『"あなた"・・・なんて』
「ユウ?」
「え、」
綾がまた心配そうに覗き込んでくる
「やっぱり、まだ休んでた方がいいんじゃ・・・」
「あぁ、ごめん心配しないで。大丈夫だよ」
いつもどおりの掴めない笑顔で笑うユウ
「なら、いいんだけど・・・」
「うん、ありがと」
綾の手を断って、先ほどのことを思い出すとまた頭に小さな電流のようなものが走る
『ユウ・・・』
思い出したくないのかもしれない、暗かった記憶の中
『世界に、捨てられた子』
金髪に黒メッシュの髪が歩くたびに動く
その男に手を引かれ歩いている少年が不思議そうに首をかしげる
『・・・・おじさん、だあれ?』
『んー?』
男が楽しそうに笑いながら少年のほうを振り向く
『俺?俺はね・・・』
思い出すには、あまりにもあいまいで
「死んだのか?」
「現在確認中です。おそらく我々より先に天界側が発見・・・保護したかと」
「・・・・下がっていいぞフギン」
「はっ」
そういうとスーツの男が一礼をしいなくなる
「久しぶりに・・・会えそうだなぁ、ユウ・・・」
*青色ヴァーギュネス*
「ユウー、何してるの?」
「んー?ちょっとねー・・・洗濯物でもしようかと思って」
「えっそ、そんなのあたしがやるよ!ユウはまだ体調不良なんだから!」
「もう治ったのにー」
「だぁめ。私がやるからユウは休んでて!」
「はぁーい」
綾に促されて居間で休むことにするユウ
「んー、ほんとにもう大丈夫なのになぁー・・・」
暇になったのでTVをつけてザッピングする
「最近テレビ見てないからなぁ・・・分かんないや。つまんない・・・」
つけたTVをすぐに消してソファに倒れる
「・・・っ!!」
(また、かよ・・・っ)
ユウをまたもや頭痛が襲う
「いっ・・・!!」
『くくっ・・・・』
頭の中で男の笑い画が聞こえる
『ははっ・・・お前も可哀想だよなぁ・・・』
(誰、だよ・・・っ)
『ユウ・・・ユウ・・・』
馬鹿にしたように自分の名前を呼ぶ、ぼやけて見える男
『1人なのに、1人ぼっちなのに・・・』
聞いたことある、何だろうこの声は
『"あなた"・・・なんて』
「ユウ?」
「え、」
綾がまた心配そうに覗き込んでくる
「やっぱり、まだ休んでた方がいいんじゃ・・・」
「あぁ、ごめん心配しないで。大丈夫だよ」
いつもどおりの掴めない笑顔で笑うユウ
「なら、いいんだけど・・・」
「うん、ありがと」
綾の手を断って、先ほどのことを思い出すとまた頭に小さな電流のようなものが走る
『ユウ・・・』
思い出したくないのかもしれない、暗かった記憶の中
『世界に、捨てられた子』
金髪に黒メッシュの髪が歩くたびに動く
その男に手を引かれ歩いている少年が不思議そうに首をかしげる
『・・・・おじさん、だあれ?』
『んー?』
男が楽しそうに笑いながら少年のほうを振り向く
『俺?俺はね・・・』
思い出すには、あまりにもあいまいで
11.09.12:49
第118話
バンッ!バンバンッ!!
「っはぁ・・・っはぁ・・・!」
*橙色ストロング*
カチャカチャッ
バンッ!バンッ!!
「・・・ふぅーっ」
「に、NYさん?何してんの?」
「藤波ちゃん、・・・いや、別に・・・」
狙撃の練習かたくさんの的の残骸がそこらじゅうに落ちている
「汗、すごいよ?あ、これタオル」
「・・・ありがとう。・・・ちょっと、ね」
「胸騒ぎ、ですか?」
「へ?」
「え、いやっなんとなくだから!き、気にしないでっ!」
少し声を低くした藤波の問いにNYが固まるが、藤波があわてて訂正する
「NYさん・・・」
「NYでいいよ。あたしも藤波って呼ぶわ」
「あ、じゃぁNY・・・、あの、前から思ってたんだけど、どうして狙撃手の仕事やめないの?」
「え?」
話の方向性とは違う問いにNYが再び固まる
「ほら、私が、その、NYを、・・・あの時本当は止めたいって言ってたから」
「・・・そのうち」
「え?」
「もっとあたしが強くなったら、言うよ」
にっこりと、大人びた笑顔でNYが笑った
「ユウは?」
「ん?あ、おはよう綾さん。ユウは、出かけたよ」
JONがふわ、と微笑んでいう
「え!?大丈夫なの!?」
「あぁ、体に異常はないからな。あるとしたら」
「?」
「・・・なんでもないや。俺もよくわかんないしねー。じゃ、俺帰るね。潤さんが一人で寂しがってるからさ」
一瞬真剣な顔になったJONはまたふざけなおし、身支度をして帰ろうとする
「あ、JON」
「ん?」
「いろいろ、ありがとう」
「・・・綾」
「え?」
「って呼んでいい?」
にっこり笑うJONに綾はにっこりと笑い返した
「ユウは罪な男だなぁ」
「なんか言った?」
一人、帰りながらつぶやいているといきなり隣で声がする
「うあぇ!ユウ!・・・んだよ、用事は?終わったのかよ」
「今から。つうかJON」
じと、と睨まれる
「な、ちげぇよ。狙ってなんかねぇからなっ」
「何も言ってないし。何も見てなかったし」
「つうか」
お前が、と言いかけて止める
「・・・何」
「・・・お前が、あいまいな行動してっから、綾があんな顔すんだろ」
「・・・」
「早く、楽にしてやれよ」
「お前には、分からない。俺の気持ちはそんな簡単に通らない」
俺?と反応するJON
「何だよ。お前も一応ちゃんと15歳なんですネ」
「はぁ?」
「ガキ。」
に、とJONは笑いユウの頭をはたいて走っていってしまった
(・・・)
「めたないと。結構バレバレなんだけど」
「い!?」
物陰に隠れていためたないとがNYの声にびっくりする
「何?何か用なわけ?」
「・・・NY、あの」
多少モジモジしているめたないとにNYも照れだす
「な、何よ」
「あ、あんま、頑張るなよ」
「はぁ?何・・・」
「一人で、頑張ろうとすんな」
本当にこいつは、と内心NYがため息をつく
変なところでこいつはするどい
「何が言いたいわけ?」
「え?あ、それだけ・・・」
「意味わかんない!あたしは頑張ってないわよ!」
あぁどうしたもんか、にやけがとまらない
(バカ、アホ。見抜いてんじゃないわよ)
「ご、ごめんって!あ、ちょ!銃はやめろ!」
「うるさいわよ!あんたに心配されたあたしの身にもなりなさいよ!」
「あれ?・・・何してるのかな・・・あの二人」
藤波が台所から飲み物を取って降りてくると、NYとめたないとがケンカしていた
「うわ、NYさんすっごい楽しそう」
たぶんめたないとには気づかない程度に笑っているNYを見てほほえましく思う藤波
(お邪魔しました。)
ひとりごちりながら静かに台所に戻っていった
「ちょ!マジ危ねぇから!!」
「知るか!!」
胸騒ぎがする。
近い未来、何かを失いそうな気がする
それがもし、あんた達だったら
あたしはきっと壊れちゃうから
守るよ、あんた達を。
誰よりも汚れてるあたしが、身代わりになればいい
そしてあんた達が笑っていれば、あたしはそれだけでいい
だから、あたし
強くなるよ
誰にも負けないくらい、強く
「っはぁ・・・っはぁ・・・!」
*橙色ストロング*
カチャカチャッ
バンッ!バンッ!!
「・・・ふぅーっ」
「に、NYさん?何してんの?」
「藤波ちゃん、・・・いや、別に・・・」
狙撃の練習かたくさんの的の残骸がそこらじゅうに落ちている
「汗、すごいよ?あ、これタオル」
「・・・ありがとう。・・・ちょっと、ね」
「胸騒ぎ、ですか?」
「へ?」
「え、いやっなんとなくだから!き、気にしないでっ!」
少し声を低くした藤波の問いにNYが固まるが、藤波があわてて訂正する
「NYさん・・・」
「NYでいいよ。あたしも藤波って呼ぶわ」
「あ、じゃぁNY・・・、あの、前から思ってたんだけど、どうして狙撃手の仕事やめないの?」
「え?」
話の方向性とは違う問いにNYが再び固まる
「ほら、私が、その、NYを、・・・あの時本当は止めたいって言ってたから」
「・・・そのうち」
「え?」
「もっとあたしが強くなったら、言うよ」
にっこりと、大人びた笑顔でNYが笑った
「ユウは?」
「ん?あ、おはよう綾さん。ユウは、出かけたよ」
JONがふわ、と微笑んでいう
「え!?大丈夫なの!?」
「あぁ、体に異常はないからな。あるとしたら」
「?」
「・・・なんでもないや。俺もよくわかんないしねー。じゃ、俺帰るね。潤さんが一人で寂しがってるからさ」
一瞬真剣な顔になったJONはまたふざけなおし、身支度をして帰ろうとする
「あ、JON」
「ん?」
「いろいろ、ありがとう」
「・・・綾」
「え?」
「って呼んでいい?」
にっこり笑うJONに綾はにっこりと笑い返した
「ユウは罪な男だなぁ」
「なんか言った?」
一人、帰りながらつぶやいているといきなり隣で声がする
「うあぇ!ユウ!・・・んだよ、用事は?終わったのかよ」
「今から。つうかJON」
じと、と睨まれる
「な、ちげぇよ。狙ってなんかねぇからなっ」
「何も言ってないし。何も見てなかったし」
「つうか」
お前が、と言いかけて止める
「・・・何」
「・・・お前が、あいまいな行動してっから、綾があんな顔すんだろ」
「・・・」
「早く、楽にしてやれよ」
「お前には、分からない。俺の気持ちはそんな簡単に通らない」
俺?と反応するJON
「何だよ。お前も一応ちゃんと15歳なんですネ」
「はぁ?」
「ガキ。」
に、とJONは笑いユウの頭をはたいて走っていってしまった
(・・・)
「めたないと。結構バレバレなんだけど」
「い!?」
物陰に隠れていためたないとがNYの声にびっくりする
「何?何か用なわけ?」
「・・・NY、あの」
多少モジモジしているめたないとにNYも照れだす
「な、何よ」
「あ、あんま、頑張るなよ」
「はぁ?何・・・」
「一人で、頑張ろうとすんな」
本当にこいつは、と内心NYがため息をつく
変なところでこいつはするどい
「何が言いたいわけ?」
「え?あ、それだけ・・・」
「意味わかんない!あたしは頑張ってないわよ!」
あぁどうしたもんか、にやけがとまらない
(バカ、アホ。見抜いてんじゃないわよ)
「ご、ごめんって!あ、ちょ!銃はやめろ!」
「うるさいわよ!あんたに心配されたあたしの身にもなりなさいよ!」
「あれ?・・・何してるのかな・・・あの二人」
藤波が台所から飲み物を取って降りてくると、NYとめたないとがケンカしていた
「うわ、NYさんすっごい楽しそう」
たぶんめたないとには気づかない程度に笑っているNYを見てほほえましく思う藤波
(お邪魔しました。)
ひとりごちりながら静かに台所に戻っていった
「ちょ!マジ危ねぇから!!」
「知るか!!」
胸騒ぎがする。
近い未来、何かを失いそうな気がする
それがもし、あんた達だったら
あたしはきっと壊れちゃうから
守るよ、あんた達を。
誰よりも汚れてるあたしが、身代わりになればいい
そしてあんた達が笑っていれば、あたしはそれだけでいい
だから、あたし
強くなるよ
誰にも負けないくらい、強く
09.20.17:45
第117話
「不思議じゃのぅ・・・」
「うん、いやな感じがするよ・・・」
*藍色ブライト*
「ユウ・・・大丈夫・・・?」
「あぁ、もうだいぶ熱も下がったし、いっとき寝かせとけばまた元気になるよ」
「そうか、よかった。じゃぁ、後はよろしくなJONさん。あ、あと・・・。」
「ん?」
「くれぐれも、綾さんに無理させないように」
「・・・はーい」
ガチャ・・・寝室のドアを開く
あの後、ユウは激しい頭痛で熱を出してしまったのだ
「綾さん。ユウはもう大丈夫だから、今日は寝な?」
「・・・JON君。ううん、大丈夫」
ユウの眠るすぐそばで手を握ってイスに座っている綾
「あたしは、ユウについとくよ。JON君こそ、後はあたしがするからもういいよ」
にっこり、悲しそうに笑う綾
小さく息を吐きJONがベッドに座る
「JONくん・・・?」
「綾さん。ユウが大切なのはわかるけど無理しちゃ駄目。夜更かしはお肌の敵なんですよ?」
「ぷ、何それ。」
いつもとは違い弱く笑う綾
「・・・ねぇ、ユウのこと好き?」
「・・・何。急に」
「いや、なんつーか。まぁ何となく」
「・・・好きよ。大好き。」
「そか、てかさ、その・・・付き合ってる系なわけ?お二人さんはさ」
「ううん。」
「え?」
「ユウは、あたしのこと女の子っていうより、お母さんって思ってるから」
「おかあさん・・・?」
「一緒にいすぎたみたい」
ユウの手を力強く握りなおす綾
「まぁ、そんな関係でも満足してるんです。いいんです。」
「・・・」
「何よー!JON君から聞いてきたくせにー!あ、氷取ってくるねーっ」
バタンッ
「・・・どう思う?」
「どうって・・・盛大に勘違いされてるみたいだね」
眠っていたユウがパッチリと目を開けて答える
「・・・告れば?」
「さぁね」
また、答えになってない答え
「お前はどうでもいいけど、綾さんは泣かすなよ」
「・・・何。好きなわけ?」
「僕は女の子みんなの味方ですよぃ。仲間として大切なだけ。」
「そ、ならいい。」
ふぃ、と窓を向くユウ
「・・・あ?」
「ん?」
ユウの声にJONが反応して窓を見る
「・・・何あれ。」
窓の外には紫紺色と紅紫色の光が浮いていた
「もしかして、神風と神凪?」
光が言葉に反応して窓を通過し部屋に入ってくる
「ぷっはぁ、やはり外界の空気に慣れると霊魂がきつくなるな」
「ぷっは・・・はぁ、疲れたよ」
光がなくなると、小さな双子が姿を現した
「大丈夫?神風ちゃんっ」
「わらわの心配もせい。小童が。」
「誰がこわっぱだい?神凪ちゃん」
「ちゃん付けはやめろ!!気色の悪い!!」
神凪が叫ぶと神風がシーッと人差し指を立てる
「兄様、ユウ風邪なんだから。大きい声だしちゃ駄目だよ」
「む、すまぬ・・・」
「気にしないで。で、どうしたのかな?こんな夜中に」
にっこりと笑いかけるとJONに「気持ち悪い」といわれた
「あのぬいぐるみのことじゃ。」
「ぬいぐるみ・・・黒いウサギのことだね」
「あのぬいぐるみ、何か感じなかった?」
「感じるも何も」
あれのせいで風邪ひいたみたいなものだからね
「?どういう意味?」
「なんかずっと頭痛が続いてたんだけど、あのぬいぐるみに触れた途端、さらに頭痛が激しくなってさ・・・しかも、あのぬいぐるみからなんか声がして・・・」
「あのぬいぐるみには魂があるということかの?!」
「兄様、もう少し静かにしてよ」
JONが続けて、と言う
「思い出して・・・って言うんだ。そして、4人の名前が・・・」
「名前?」
「うん、えっと・・・っ!!!?」
「ユウ?!」
頭をつかみ軽く震えている
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫・・・名前は、塾・・・T・・・向日葵・・・っりお・・・」
「??誰だ?そやつらは・・・?」
「それ、と・・・り・・・rirai・・・veっ」
「ユウ?!」
扉のところに綾が立っている
「大丈夫?!」
「・・・綾・・・」
「ユウ、大丈夫?今日はもう寝ようね・・・」
「・・・うん」
「あのぬいぐるみ・・・やはり、何か」
「ユウ・・・苦しそうだよ・・・」
「・・・riraive・・・?」
ぽつり、JONが呟く
『うわっ!昼休み終わった!』
『意外と面白かったなかくれんぼも!』
『なんだよ、全員捕まってんじゃねえかよ!』
『・・・riraive・・・?』
消えかけていた記憶は、鮮やかに
「うん、いやな感じがするよ・・・」
*藍色ブライト*
「ユウ・・・大丈夫・・・?」
「あぁ、もうだいぶ熱も下がったし、いっとき寝かせとけばまた元気になるよ」
「そうか、よかった。じゃぁ、後はよろしくなJONさん。あ、あと・・・。」
「ん?」
「くれぐれも、綾さんに無理させないように」
「・・・はーい」
ガチャ・・・寝室のドアを開く
あの後、ユウは激しい頭痛で熱を出してしまったのだ
「綾さん。ユウはもう大丈夫だから、今日は寝な?」
「・・・JON君。ううん、大丈夫」
ユウの眠るすぐそばで手を握ってイスに座っている綾
「あたしは、ユウについとくよ。JON君こそ、後はあたしがするからもういいよ」
にっこり、悲しそうに笑う綾
小さく息を吐きJONがベッドに座る
「JONくん・・・?」
「綾さん。ユウが大切なのはわかるけど無理しちゃ駄目。夜更かしはお肌の敵なんですよ?」
「ぷ、何それ。」
いつもとは違い弱く笑う綾
「・・・ねぇ、ユウのこと好き?」
「・・・何。急に」
「いや、なんつーか。まぁ何となく」
「・・・好きよ。大好き。」
「そか、てかさ、その・・・付き合ってる系なわけ?お二人さんはさ」
「ううん。」
「え?」
「ユウは、あたしのこと女の子っていうより、お母さんって思ってるから」
「おかあさん・・・?」
「一緒にいすぎたみたい」
ユウの手を力強く握りなおす綾
「まぁ、そんな関係でも満足してるんです。いいんです。」
「・・・」
「何よー!JON君から聞いてきたくせにー!あ、氷取ってくるねーっ」
バタンッ
「・・・どう思う?」
「どうって・・・盛大に勘違いされてるみたいだね」
眠っていたユウがパッチリと目を開けて答える
「・・・告れば?」
「さぁね」
また、答えになってない答え
「お前はどうでもいいけど、綾さんは泣かすなよ」
「・・・何。好きなわけ?」
「僕は女の子みんなの味方ですよぃ。仲間として大切なだけ。」
「そ、ならいい。」
ふぃ、と窓を向くユウ
「・・・あ?」
「ん?」
ユウの声にJONが反応して窓を見る
「・・・何あれ。」
窓の外には紫紺色と紅紫色の光が浮いていた
「もしかして、神風と神凪?」
光が言葉に反応して窓を通過し部屋に入ってくる
「ぷっはぁ、やはり外界の空気に慣れると霊魂がきつくなるな」
「ぷっは・・・はぁ、疲れたよ」
光がなくなると、小さな双子が姿を現した
「大丈夫?神風ちゃんっ」
「わらわの心配もせい。小童が。」
「誰がこわっぱだい?神凪ちゃん」
「ちゃん付けはやめろ!!気色の悪い!!」
神凪が叫ぶと神風がシーッと人差し指を立てる
「兄様、ユウ風邪なんだから。大きい声だしちゃ駄目だよ」
「む、すまぬ・・・」
「気にしないで。で、どうしたのかな?こんな夜中に」
にっこりと笑いかけるとJONに「気持ち悪い」といわれた
「あのぬいぐるみのことじゃ。」
「ぬいぐるみ・・・黒いウサギのことだね」
「あのぬいぐるみ、何か感じなかった?」
「感じるも何も」
あれのせいで風邪ひいたみたいなものだからね
「?どういう意味?」
「なんかずっと頭痛が続いてたんだけど、あのぬいぐるみに触れた途端、さらに頭痛が激しくなってさ・・・しかも、あのぬいぐるみからなんか声がして・・・」
「あのぬいぐるみには魂があるということかの?!」
「兄様、もう少し静かにしてよ」
JONが続けて、と言う
「思い出して・・・って言うんだ。そして、4人の名前が・・・」
「名前?」
「うん、えっと・・・っ!!!?」
「ユウ?!」
頭をつかみ軽く震えている
「おい、大丈夫か?」
「だ、大丈夫・・・名前は、塾・・・T・・・向日葵・・・っりお・・・」
「??誰だ?そやつらは・・・?」
「それ、と・・・り・・・rirai・・・veっ」
「ユウ?!」
扉のところに綾が立っている
「大丈夫?!」
「・・・綾・・・」
「ユウ、大丈夫?今日はもう寝ようね・・・」
「・・・うん」
「あのぬいぐるみ・・・やはり、何か」
「ユウ・・・苦しそうだよ・・・」
「・・・riraive・・・?」
ぽつり、JONが呟く
『うわっ!昼休み終わった!』
『意外と面白かったなかくれんぼも!』
『なんだよ、全員捕まってんじゃねえかよ!』
『・・・riraive・・・?』
消えかけていた記憶は、鮮やかに