11.27.18:31
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02.15.03:53
第82話
「ん・・・。」
倒れていた子が目を覚ます
「起きた・・・?」
「どこだ・・・ここ・・・。」
「私の家・・・あなた倒れてた・・・大丈夫・・・」
「・・・お前がここへ俺を?」
「えぇ・・・」
「・・・。」
「・・・」
倒れていた子が黙る。ソレと同時に栞も黙る。別に話すことがあるわけでもない
「いっそのこと・・・見捨てられたほうが良かったのにな。」
「え・・・?」
「俺なんて死んじまえば良かった。・・・でもお前が助けてくれたんだ。それも運命か?」
「私は・・・運命は信じない・・・」
「?」
「だって・・・決められたレールを走るのって退屈・・・やりたいことは自分で決める・・・それが運命・・・」
「・・・そうか。じゃぁお前は俺を助けたいから助けたのか。」
「それが私の決めた運命だったから・・・」
こくんと頷いて答える栞に少し笑うその子
「あ・・・名前は・・・?」
「・・・潤。梅柿潤だ。」
きれいなエメラルド色の目がまっすぐこちらを捕らえた
「きれいな目だな。」
「?今思ってること・・・」
「いや、俺が思ったんだよ。きれいな金色の瞳。」
「き・・・れい・・・?」
言われたことない・・・
「なんで?そんなにきれいなのにな。気づかないなんてもったいないな。」
潤がにっこりと笑う、つられてにっこりと笑う栞
「お前の名前は?」
「栞・・・」
「可愛い名前だな。」
「それも言われたことない・・・」
過ぎていく時間の中で、あなたといるときはこれ以上ないほど幸せだった。
仲間のいないこの町で、たった一人の心の支えだった。
なのにもろいものね。崩れるのなんて簡単だった。
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